今回はダナーのド定番商品、マウンテンライトとダナーライトについて動画で解説していきます。登山靴との違いについては 14:57 からです。
まずは動画で説明!
マウンテンライトの紹介
登山靴と聞いてまず創造するであろうシルエットではないかと思います。1961年にこのマウンテンライトのもとになったにマウンテントレイルというモデルが登場し、当時のアメリカのバックパッキングブームとかを追い風にベストセラーになりました。マウンテンライトはその機構を引き継いだうえゴアテックスブーティを採用して作られたモデルです。
素材は防水加工の施されたフルグレインレザーがアッパーを覆っていますいます。足首側面にロゴが型押しで入ってます。ソールはビブラム社のクレッターリフトソールを採用し非常に目が粗く厚みのあるソールです。アッパーとソールをつなぐ部分はステッチダウン製法という方法で作られています。アッパーの裾にあたる部分がソールに覆いかぶさる形でせり出しており、そこを縫い合わせる形です。構成がシンプルなのでカジュアルシューズ含め様々な靴に搭載されているポピュラーなシステムです。
中はこんな感じです。ゴアテックスのタグがあります。
この見えている部分の一層下にゴアテックスメンブレンがあります。
ダナーライトの紹介
世界で初めてシューズにゴアテックスブーティを搭載したモデルとして非常に有名です。1979年に開発されて翌年商品化されたモデルになります。マウンテントレイルの成功を経て元々労働者向けのブーツを作っていたダナーが登山トレッキングなどを重視したモデルに一層力を入れて行くことになったアイコン的な存在です。
マウンテンライトからの大きな変更点というのは側面に1000デニールのコーデュラナイロンファブリックを使用している点です。マウンテンライトはオールレザーアッパーでしたがゴアテックスの特徴である防水透湿の性能をより充実させるために設けられたのがこのディテ―ルです。アッパーのフルグレインレザーとビブラムのクレッターリフトソールとステッチダウン製法についてはマウンテンライトと同じです。
中を見ていきます。
マウンテンライトよりインナーのナイロン部分の面積が広いです。透湿性の向上に一役かっています。
ダナー独自の特殊な製法について解説
まず、ステッチダウン製法ですがこれは本来縫い目がソールに発生することによって防水性が下がる製法でした。
しかしダナーの場合はゴアテックス製のインナーブーティーのおかげで防水性があります。そしてそのインナーブーティーとアウトソールにかぶさるアッパーとの間に空間ができます。
この空間が内部からの水蒸気を拡散するための有効的スペースになってます。
そしてもう一つの大きな特徴がフリーハンギング・インナーブーティーという機構です。
ゴアテックス製のインナーを足首部分の縫製のみで吊るすような形状をとることで、縫い目を減らし、防水性を損なうことを避けています。
ソールはエクストラワイドベースというつくりでインナーに対してワイドな作りになっていることで上からの荷重がかかった時に力が分散されるようになっています。長時間の歩行、重い荷物に対応していてトレイルブーツらしい作りです。
アウトソール部分とインソールの部分は全部で6層になっています。
これがシックス・レイヤー・デュアル・デンシティ・プラットフォームという形になってます。アウトソール側に3層とインナー側に3層の構造になっています。
ダナーライトやマウンテンライトは登山に使えるの??
結論から言ってしまうと使えてしまいます。正直私自身もダナーライトを履いて夏山も普通に登っています。
しかし元々の設計思想がアメリカにおけるロングトレイルなど広大な土地をトレッキングすることなどを想定しているので日本の登山のように高温多湿な土地で重荷を背負って山頂まで登ると言うアクティビティは想定されていません。なので決して最適、快適ということはできません。詳細については以下の項目で説明しています。
登山靴との構造の違いについて
比較としてローバーの登山靴を用意しました。こちらは日帰り登山用途などライトな登山靴に分類されるモデルになります。
この2つはどちらもゴアテックスブーティを採用しており防水透湿性をうたっていますが、これは中からの湿気、水蒸気を外に拡散させなければいけません。これには生地自体の透湿性と空洞、スペースが必要です。
例えばマウンテンライトはオールレザーのアッパーなので多少なりとも生地自体に透湿性があるとはいえ非常に低いですし、水蒸気が拡散していくスペースもありません。
実際の登山靴を見てみると足首周りを囲っているところに非常に通気性の良さそうなメッシュ素材で囲まれています。
ここが湿気が生じた時、内部のゴアテックスブーティとアッパーの間の空間を通って最終的に出て行くところがここです。
ダナーは足首のところを見てもそのような機構は備わっていません、なので気密性が高くムレが残ってしまいます。
ビブラムのクレッターソールも非常に扁平で山でガレた場所を歩く時など少し不便かなと思いました。
ダナーは中敷きがついていません。またステッチダウン製法でソールからアッパーが立ち上がっている形なのでフィット感が最近の登山靴と比べるとそこまでよくありません。
最近の登山靴は縫い目を無くすため圧着式が多くステッチダウンはまずありません。もちろん中敷きもついていますのでフィット感が段違いです。
今回は登山靴との比較についても説明しましたが、ダナーはキャンプの時や川遊びの時など広く多くのアウトドアアクティビティから日常使いにまでマッチする汎用性の高さではこれにかなう製品は他にはないと感じます。
手入れをすることで、一生涯にわたってあなたの相棒となってくれると思います。