道具や知識を通して、実際にフィールドへ出て体感することがWESTの提供する価値の源泉であると考えています。

WESTの創業は、まさにゼロからのスタートでした。メーカーとしての立場から販売店を立ち上げるという未知の挑戦に対し、何から手をつけるべきか試行錯誤の連続でした。
まずは出店場所を探し、新潟市内でいくつかの候補地を検討しました。その中で、鳥屋野潟のロケーションに一目惚れし、現在に至るまでこの場所を気に入っています。

開店に向けては、アウトドアが好きな人材や販売経験者を募り、7~8名のスタッフで準備を開始しました。当時すでに存在していたアウトドア専門店の取扱品目を参考にしながら、メンバーの得意分野や興味を活かし、どのようなお店にしたいかワクワクしながら商品構成を決めていきました。

新規の販売店として、各メーカーとの取引交渉には大きな苦労がありました。協力的なメーカーもありましたが、特に登山用品関連のメーカーは専門的な知識や経験を求める傾向が強く、計画していた商品の半数ほどしか揃えることができない状況でのスタートとなりました。

それでも、オープン後も学びを重ね、必要な資格を取得しながら専門知識を深めていきました。さらに、毎年の展示会に足を運び、メーカーとの信頼関係を築きながら交渉を継続。こうした努力が実を結び、3年後に三条店をオープンした際には、計画していたブランドや商品構成がほぼ整い、現在のWESTのスタイルの礎が築かれました。

30年の歴史の中で、特に印象的だったのは新潟県内で発生した災害の数々です。2004年の三条市の水害と地震、2007年の地震、2011年の水害、そして2024年の地震―これらの出来事を通じて、アウトドア用品が単なる趣味の道具ではなく、災害時に生活用品として役立つことを強く実感しました。

避難生活ではキャンプ用品が役立ち、水害時にはカヌーが避難手段として活用されるなど、アウトドアの知識や道具が人々の安全を守る大切な存在であることを実体験しました。こうした背景もあり、世間でもアウトドア用品が防災用品として認識されるようになりました。

「体感するアウトドア」―このコンセプトは、2店舗目となる三条店の立ち上げ時に掲げたものであり、今もなお変わらず大切にしています。

私自身も、アウトドアは「体で感じるもの」として捉えており、トレッキング、カヌー、SUP、スキー、スノーボードと、一年を通じて体を動かし続けています。こうした実体験こそが、WESTの提供する価値の源泉であると考えています。

時代の変化とともに、特に情報の入手手段が飛躍的に進化し、今では誰でも簡単に最新の情報を手に入れられる時代になりました。

しかし、どんなに情報が手に入りやすくなっても、アウトドアの魅力は「体験しなければ得られない」ものです。道具や知識は簡単に手に入っても、実際にフィールドへ出て体感することが、アウトドアの本当の醍醐味だと考えています。

かつては、アウトドア業界において同業他社はライバルの関係でした。しかし近年では、企業同士が連携し、ネットワークを活かして活動するようになっています。

特に「アウトドアの街 燕三条」としての協力体制が整ってきたことは大きな前進です。個々の店舗だけでは限られる影響力も、地域全体としてまとまることで、より大きな発信力を持ち、注目を集めることができるようになりました。これにより、アウトドア業界全体の成長にも貢献できると考えています。

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