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高効率バーナーの沸騰比較テスト【MSRウィンドバーナー】と【ジェットボイル】

MSRのガス器具の国内販売開始は2020年の大きなトピックスの一つですが。特に注目を浴びている【ウインドバーナーパーソナルシステム】の性能について迫りました。

比較は、見た目にも近い存在で、国内での人気、信頼度はゆるぎない定番アイテム【ジェットボイル】で行いました。名実ともにライバル関係となる二つのモデルの気になる【価格差】や【湯沸かしスピード】、そして器具の名称にもなっている【ウインド】の意味をあらわす耐風(風のある環境)テストの結果はとても興味深いものとなりました。

まずは動画で

机上スペック比較

まずはカタログやHPで公表されている価格とスペックから抜粋した表で見てみます。
ウインドバーナーに対しジェットボイルフラッシュは12,320円安い。マイクロモは8,250円安い。重量はフラッシュが25g軽い。マイクロモは65g軽い(クッカー容量が0.8Lと小さいことも要因)火力の目安となる出力もフラッシュは+504kc。マイクロモは-253kc
となっており、価格、重量、火力の面でスペック上はフラッシュがダントツに選択しやすく感じますね。

ここでマイクロモの影が薄く感じてきますが、このモデルは表の一番下にある【レギュレーター】が一番の特徴で(ウィンドバーナーにも搭載)寒冷な環境(-6℃対応)やガスカートリッジの残量が減ってきても(約30%程度まで)安定した出力を誇る点にあり、非常に実践的なバーナーですが、今回のテスト環境(室温26℃、カートリッジ満タン)ではフラッシュが一番有利なバーナーと言えるので、この後の比較はマイクロモは外し、ウインドバーナー対フラッシュのみで進めていきます。

無風状態での湯沸かしテスト

【MSRウィンドバーナー】と、温暖な環境でカートリッジ残量が十分であればジェットボイルの中で最強と言える【フラッシュ】との湯沸かしテストを行います。

※テストとは言ってもあくまでアマチュア的な簡易的なものとなりますので、結果で出る数値などはあくまで目安としてとらえていただければと思います。

【室温26℃、水温23℃、水量500cc】この条件で火力全開のバーナーにクッカーを載せていきます。沸騰の判断は目視でボコボコと沸いたら沸騰とアバウトな判断をさせてもらっています。

【テスト結果】

ジェットボイルフラッシュ 1分34秒で沸騰
ウィンドバーナー     2分5秒で沸騰

事前に確認したスペック通り出力の高いフラッシュが断然早く沸騰しました。
さすがに素晴らしい性能です。続いて風のある環境でのテストを行います。

風のある状態でのテスト

クッカーを一度冷まして水温を確認して再テストを行います。フラッシュはカートリッジの残量が減り、さらに冷えた状態で本領を発揮できない状態なのでカートリッジを新しいものに交換します。ウインドバーナーはレギュレーターを搭載しているので、冷えや多少、残量が減っても出力は変わらないのでそのまま続行します。

送風機で風を送りながら点火しテストをスタートします。環境は【室温25℃、水温23℃、水量500cc】です。バーナーのヘッドの位置がフラッシュは少し低いので同じ風力を求めるために、少し上げ底しています。バーナーの少し後ろを風力計で図るとおおよそ、【3.7mほどの風】が出ています。バーナーの位置だと【4mくらいの風力】かもしれません。

1分30秒経過。先ほどフラッシュが沸騰した時間ですがどちらも沸騰の気配なし。温度は上がっているように見えます。
2分5秒経過。ウィンドバーナーも先ほどのタイムに達しても沸騰しません。


【2分36秒、ウィンドバーナーが先に沸騰】
フラッシュは温度は上がっているようですがまだ沸騰しません。
4分が経過したあたりでフラッシュの火が風の影響で止まってしまいます。カートリッジの冷えと残量低下で出力が落ちたためかもしれません。再点火しても安定しないので、ここでテストは終了します。

結果は
【ウインドバーナー2分36秒】
【フラッシュ4分以上でも沸騰せず風で消火】
風の強い環境でのウィンドバーナーの安定した性能が垣間見れる結果となりました。
その他の機能についても続けてレビューを行います。

プレッシャーレギュレーター

【MSR WINDBURNER STOVE SYSTEM】とその他のメーカーでも搭載されているレギュレーターと原理は同じく寒冷な環境(-6℃)とカートリッジの残量低下時(残量30%程度まで)でも出力が落ちない。国内では【SOTO】や【JET BOIL】の一部機種で採用されています。メーカーの違いによる性能の差は各社から報告を受けていないので、ほぼ同様な効果と考えられます。

オールインワンストーブシステム

【MSR WINDBURNER STOVE SYSTEM】は【ジェットボイル】と同じく110gカートリッジとバーナーヘッドをまとめて収納できるとこを指します。

100%一次空気を使用して燃焼するラジエントバーナー機構

近年生まれたレギュレーター搭載に次ぐ、新たなセンセーションが実はこの機構です。

通常のガスバーナーはヘッド下部のシャフトに空いている穴からガスの上昇とともに巻き上げられた一時酸素がヘッド内部で混合し燃焼の準備をし、さらに二次酸素としてバーナーヘッドの外側(上側)から酸素をうけとり燃焼に至ります。この二次酸素を受け取るときに風が強いとバーナーヘッドの火が泳いでしまい沸騰が遅れる。ここまでが今までのバーナーの仕組みです。

この【必要でも厄介な二次酸素】との【関係を断ち切った】のが新たな機構の長所です。なぜ他社ができない【100%一時酸素だけで燃焼】ができたかは企業秘密となっています。

※一時酸素を効率よく利用し高い風防効果のあるモデルにはSOTOウインドマスターやプリムスP-115など 。優秀なバーナーがありますが100%一時酸素だけで燃焼しているモデルはMSRウィンドバーナーが唯一かもしれません。

クッカー底面のフィン

【MSR WINDBURNER STOVE SYSTEM】の内側のフィンの効果は燃焼後の不必要な一酸化炭素を竜巻状に素早く輩出し 新たな熱気を引き込む効果がある。このため低い出力(1756kc)でも効率よくお湯を沸かすことができます。

他のクッカーとの相性

 【MSR WINDBURNER STOVE SYSTEM】と他のクッカーとの相性は、社外品ではほとんどその性能が引き出せないので 今のところ必ず純正のクッカーをお使いください。五徳もないので載せられません。 秋にはスキレットなどの追加もありますので今後に期待ですね。

以上、【MSRウィンドバーナー】と【ジェットボイル】高効率バーナーの沸騰比較テストでした。

MSR(エムエスアール)

ウィンドバーナーパーソナルストーブシステム 1.0L


JETBOIL(ジェットボイル)

フラッシュ


JETBOIL(ジェットボイル)

マイクロモ


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